田山信行

石岡タローの田山信行のレビュー・感想・評価

石岡タロー(2023年製作の映画)
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地元発映画。この様な物語が実際にあったなんてこの映画の発表まで露知らず。主な製作資金は協賛金のインディーズ映画ということでコレが意外にといったら失礼だろうが、物語の始まる昭和30年代の風景が非常に丁寧に作り込まれていた。茨城の田舎には40年もそう変わらぬままの風景があるってことなんだろうが。昭和のヴィンテージカーは旧車マニアの方が提供されているが同じ方が複数台提供しておりクレジットが圧巻。

廃線となった鹿島鉄道のキハ系の動く姿を観るだけで自分の懐かしい記憶も呼び起こされる。現存していた車両を映画の為に走らせたかと思ったのだが廃線前に撮影されたビデオ映像を4Kへコンバートしたものだと。デジタル技術様々だな。

メジャーな役者さんってのはそう出演してはいないが昭和を体現できる役者さんを集めたのだろう。如何にも現代的って顔つきの方は出てこなくて時代性が削がれることもなく。

タローが生きた17年間、保護した東小学校、石岡の街の人たちに愛されて、また時が経ち新聞欄などで取り上げられて物語が現代へと繋がる、そしてこの映画へという軌跡。

忠犬ハチ公にも匹敵するタローの感動物語ということで動物ものにグッとこない訳ないんだが自分にとって身近な場が物語の拠点となっているだけに更に思い入れが深くなる。愛さずにはいられない映画になった。
田山信行

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