北斗星

PERFECT DAYSの北斗星のネタバレレビュー・内容・結末

PERFECT DAYS(2023年製作の映画)
3.9

このレビューはネタバレを含みます

 
今年観た中で一番かも。
ヴェンダースの光のマジック。
この感性すごい!
ひとりの男(ヒラヤマと、監督)の視点から、こんなにも東京を美しく切りとれるなんて、素晴らしい!まさに日出る国。
エンドロールのラスト、あの言葉にグッと来た。
映画好きな方にはぜひ観てほしい。お勧めします。


映像良し(全編、フィルムカメラのようなナチュラルな色合い)、音楽良し、台詞の少なさ良し。


少欲知足。
寝て
起きて
働いて
ゆっくり食べて、少し呑んで。
残った時間で趣味を楽しむ。

シンプルな生き方。まるで禅。持たない自由さ。


ヒラヤマはあの髭や髪型、私服から、インテリにしか見えない。


夢に落ちるとき、その日の出来事が映像で表れる。昔の日本映画のような美しさ。


自然光と夜景、ネオンがひたすら美しい。
ちょっと“ガイジン”の視点なのかな、と感じた。


だいぶ古びたアパートの照明も凝っている。LEDの味気ない白さじゃなく、ミニ盆栽の上の淡いパープル。玄関の蛍光灯のオレンジ。


麻生祐未が車のテイルランプに赤く照らされ、雰囲気があり美しく撮られていた。


三浦友和との影踏み。
見知らぬ同士がほんの一瞬交わる。

『人と重なっても影は濃くはならない。このまま終わってゆくのかな…』
『いや、そんなバカなことあるわけない。』



『PERFECT DAYS』、最初は何もかもが一寸の狂いなく完璧な日々のことかとイメージしてた。が、後半、ひょいと表れた姪。ヒラヤマが急に饒舌になったあたりから、
他者との関係が紡がれた世界のことなのかな?と。
一人きりで生きていてもつまらない。わずかな関わり、例え他人でも『あの人今日はいるかな?』と気にかけたり、かけられたり。
それが人の心にさざなみのように響いていく。 



同じように感じる日でも
風景も、季節も、時も、時代も皆移ろう。
同じ一日は、二度とない。



古びたアパートが小さな楽園に見えた。


彼は撮りためた写真を懐かしく見ることはあるのか?それとも自分の生きた軌跡?はたまた自然界の記録?


夢、神社の木漏れ日、写真がモノクロで表現され、幻影的だった。



ただ一つ、蛇足。
この主人公がこの先も生きてく若い人でないことと、どうしたってヒラヤマの好むものが過去にしかないのかな?(人を除いて)という点で一抹の寂しさを感じてしまうのは私だけだろうか。




〜〜お客さんの入り〜〜

公開二日目。盛況。半分より後ろはほぼ埋まっていた。私の隣の席にもお客さんが。これは久しぶり。だいぶ嬉しくなる。


滅多にパンフレットは買わないんですが、今日は記念に買っておこう♪レビュー書いたらゆっくり読みます。
北斗星

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