サトシ

PERFECT DAYSのサトシのレビュー・感想・評価

PERFECT DAYS(2023年製作の映画)
4.4
ヴィム・ヴェンダース監督、主演役所広司の日本&ドイツ合作映画。
第76回カンヌ国際映画祭コンペティション部門男優賞受賞。

東京渋谷の公衆トイレの清掃員平山は古いアパートで一人暮らしている。
毎日、きわめて規則正しく同じことの繰り返しのなかで生活しているように見えたが、平山にとっては全く違っていた。
夜が明ける前に近所の老女が掃除する竹ボウキの音が響くと、それが聞こえると男はすっと目を開け、少しのあいだ天井を見つめ、おもむろに起きあがると薄い布団を手際よく畳む。
毎日、部屋に何個も並ぶ植木鉢に霧を吹き掛ける。
歯を磨き、髭を整え、清掃のユニフォームに着替え、車のキーと小銭とガラケーをいつものようにポケットにしまい部屋を出る。
ドアを開けて空を眺めると笑みを浮かべる。
いつもの缶コーヒーを買うと手作りの掃除道具をぎっしり積んだ青い軽
自動車にのって仕事へ向かう。お気に入りのカセットテープを押し込み音楽が流れる。いくつものトイレを掃除してまわる。
夕方、掃除を終えると自転車に乗り換えて銭湯へ行き、いつもの地下の居酒屋でいつものメニューを頼み、そして寝落ちするまで本を読む・・・。

【キャスト】
平山:役所広司
ホームレス:田中泯
ニコ:中野夕紗
タカシ:柄本時生
アヤ:アオイヤマダ
ケイコ:麻生佑未
ママ:石川さゆり
友山:三浦友和

去年の見こぼし映画を鑑賞。
これは自分の人生を変えるといっても過言ではない作品です。
キャッチコピー「こんなふうに生きていけたなら」が胸に刺さりました。
平山が送っている毎日は、同じに見えても同じ日なんて1日もないんです。何の職業、置かれた立場など全く関係ないという事に気付かせてくれます。印象に残ったのは、神社で昼休みをする時に木漏れ日の写真をカメラで撮って保管しているシーンです。側にとっては意味のない事と思っても、1日1日を大事にしているメッセージが伝わってきました。
役所広司の自然に溢れる笑顔と、寡黙な性格が伝わってくる演技は本当に素晴らしかったです。映画によって全く違った印象で、役作りの準備は想像できない程です。トイレにあった紙クズを捨てずにまるばつゲームに付き合ってくれる所は忘れてしまった優しさを教えてくれていました。
三浦友和が、影と影が重なると濃くなるんですか、知らない事だらけで、終わってしまうんですね。というセリフも凄く良かったです。本当に知っている事なんか、限られているんだなと痛感させられた瞬間でした。
姪っ子ニコがやってきてから、平山が急に話し出すのも注目です。一緒に仕事場について回ったり、絡んでくると、雰囲気が変わります。「今は今、今度は今度」と歌いながら自転車を漕いでいるシーンはほんわかして好きですね。
メインでない所のキャスティングが有名な俳優が多数出演している事も魅力で、あっあの人だと叫んでいました。
特に研ナオコ、松居大悟監督は分かり難いですが、チョイ役で出演しています。
この映画は本当にオススメですね。
サトシ

サトシ