エドガルド・モルターラ ある少年の数奇な運命のmat9215のレビュー・感想・評価

オープニングの緊迫感がずっと続く濃厚なドラマ展開。一方で、磔刑のキリスト像が動きだしたり、教皇が割礼されたりする幻想描写は強度あり。息子、父、母、異端審問官、教皇ピオ9世といった登場人物たちの顔は雄弁だ。とくに、見る対象をがっちりと捉える母の眼差しが強烈。息子に洗礼を授けた若い女は法廷で「イタリア語」で話すように求められる。イタリア統一運動の真っ最中であることを、戦闘場面以上に表すエピソード。