ティンク

落下の解剖学のティンクのレビュー・感想・評価

落下の解剖学(2023年製作の映画)
4.1
『ミステリと言う勿れ』
(助演賞:ハスキーわんちゃん)

まずは何といっても秀逸なのが日本版ポスター。
(いつもポスターの話してすみません)
これは事故か、自殺か、殺人か…。
雪上で倒れている見切れている人間のそばに二人の人間と一匹の犬。この映画いろいろ受賞しましたって惹句も書かれているし、どんなミステリなんだろうって惹かれちゃうじゃないですか。
でも、ハリウッド版のポスターを見ると、倒れている人は見切れてなくて、男性で思いっきり流血してる。犬もいない。なんなんでしょう。
https://assets.st-note.com/production/uploads/images/124113029/picture_pc_5223462756fdb3ac8e61c897ce1d3edc.png?width=2000&height=2000&fit=bounds&format=jpg&quality=85
いやいや、そもそも本国のオリジナルポスターは全然違っていて、仲睦まじい夫婦の写真が載ってるだけのポスターで、ミステリ要素なし! なんか理解できない。
https://blog-imgs-169.fc2.com/f/r/e/frenchcodeblog01/20230829232506d66.jpg

ということで鑑賞しました!

思いもよらない展開とか真相究明のワクワク、あっと驚くどんでん返しといったのがミステリの醍醐味なのだとしたら、本作はミステリではありません。言う勿れ。

「落下の解剖学」

本作の中で、何が落下していき、何が解剖されていくのか。
直接的には、冒頭、登場夫婦の夫が屋根裏部屋から落下し、死亡したので司法解剖されるということなのですが・・・。
妻に殺害の嫌疑がかかり重苦しい法廷劇となっていきますが、その過程で落ちていったものは何なのか、何が解剖されていくのか。徐々にわかってきます。

それがわかると、本国版ポスターの深い意味が理解できるんです。重いです。

いかにもヨーロッパ映画(本作はフランス)の味わいですが、感心したのが、夫婦がドイツ人とフランス人で、お互いの母国語が不得手なので会話は英語でしてるという設定。おかげで、英語圏にも売り込みやすい映画になっています。うまいですね。

動物好きの方へ。日本版ポスターには登場しているワンちゃん。途中すごくいろいろありますが、最後まで無事ですのでご安心ください。

(蛇足:フランスの山道超怖い。ガードレール的なものないじゃん。あの雪道は走りたくない!)
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