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枯れ葉のarantangongoのレビュー・感想・評価

枯れ葉(2023年製作の映画)
3.8
初めてのアキ・カウリスマキ
最初は戸惑うが段々とこの監督の作品との付き合い方がわかってきた。
癖になるテンポ。
配色へのこだわりと味気ない配置は動画としてよりも静止画としての美しさのバランスを意識したがゆえの演出。ここらへんやはり小津安二郎に魅了された者の息づかいを感じる。
個人的には女性2人が昼間にカフェ(?)でカクテル(?)みたいなものを飲んでいるシーンの服とカクテルの色の配色がとても気に入った。
マウステテュトットの楽曲はその皮肉めいた歌詞を淡々と歌い上げる感じが、ちゃんと決意を促すファクターの役割を担っていて良かった。

悲しいニュースを毎日浴びている一方で毎日笑って、怒って、落ち込んで、恋をしようとしたりあるいはしていることに対する違和感は僕自身毎日、ガザやウクライナのニュースが聞こえる度に感じていたこと。大きな物語のエキストラでありながらも小さな物語の主人公としてページをめくらねばならない人生の性(サガ)をセリフや演技といった演出で強調するのではなく、淡々と事実として作品に「ねじ込む」ところがとてもリアルで気に入ったところ。

二人の名前はろくに教えてくれないのに、犬の名前を最後にしっかり教えてくれるのがかなりウケた。
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