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映画 王様戦隊キングオージャー アドベンチャー・ヘブンのtubameのレビュー・感想・評価

4.0
※このレビューは8月中旬に書いたものです


5つの王国がある架空のチキューで王様が民を守るために戦う「王様戦隊キングオージャー」劇場版。
ギラの戴冠式前に死の国に招かれた王様たちの冒険物語。


本編は毎週楽しみに観ており、今回の夏映画鑑賞は本作が目当て。
キングオージャーは戦隊としては異色の本格的なファンタジーで、最新のLEDウォールを大々的に使用した(※撮影済の背景をスクリーンに投影する手法)挑戦的な作品。本作にもそれが活用されており、ロケ0という異例の映画になっている。
TVシリーズでは個性豊かな5つの国が描かれているが、本作での舞台・死の国はそれらに負けず劣らずの存在感で、各国のイメージを織り込み細部まで作りあげられた幻想的な雰囲気が堪らなかった。
ストーリーも本編に直結する主人公・ギラのこれからの王としての覚悟を問うシリアスな内容で、見応え充分。
サイドストーリーで仲間たちがそれぞれ死者と対峙する展開も、まだ描かれていない行間(今後描かれるかは不明)を感じさせるものでワクワクさせられた。ヒメノと亡くなった両親の再会は切なくも彼女の気高さを感じたし、カグラギと前女王の取り合わせは王位簒奪の背景に何があったのか妄想が捗る。成り上がりの王ヤンマだけは過去のしがらみがなく、淡々と脱出に向けて準備を進めているのもキャラ配分として巧みだなあと思った。これまで接点が薄かったリタとの絡みが観れたのも面白かった。


ロケがないせいなのかどうなのか、ゲストが3人も登場するのも非常に豪華だった。初代シュゴッダム国王・ライオニール役の中村獅童の迫力には圧倒されたし、死の国案内人のデボニカ役に声優の佐倉綾音をキャスティングしたのは新鮮で良かった(歌声がとても素敵)。登場シーンが短いトウフ国の前女王・雛形あきこの悪女ぽさも存在感があった。


戦隊側の夏映画は30分足らずで駆け足展開が常なので、毎年のようにもっと尺があれば...!と言っているが、今年ほど観た後の満足度が高いのも珍しい。もっと尺があったらカグラギとイロキのエピソード辺りは掘り下げ出来たと思うのでその辺りは勿体無いな~とは思うけど、単純に凄く完成度が高いと思うのだ。
信じられない密度で物語が凝縮されており、怒涛の勢いで突き進む。キングオージャー濃縮セットって感じが好き。
あっという間でもあり、体感30分以上あったような気もする不思議な感覚があった。


変身後の戦闘シーンが終盤畳み掛けるのがまたカッコ良かったなあ!いつも我の強い6人が息を合わせて戦うのは映画ならではの御褒美って感じだった。ロボ戦がない分、等身大のヒーローたちを堪能できた。TVシリーズを引き続き応援します!
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