柏エシディシ

愛にイナズマの柏エシディシのレビュー・感想・評価

愛にイナズマ(2023年製作の映画)
3.0
正直、ちょっと苦手な石井裕也監督作品。
今回は松岡茉優と若葉竜也目当てで鑑賞。

監督によるオリジナル脚本という事だが、コロナ禍における自身のモヤモヤや混乱をそのままぶつけてきた様な、やや散漫な印象なプロットで、章立てにして体裁を整えている所からしてもその自覚もありそう。
この数年誰しもが感じているような理不尽や言葉にならない違和感を「無かったことにせず」何とかそのまま表象しようとする試みではあるが、主人公たちと対面する"世間"代表の人物たちのそれこそ「あり得ない」ほど紋切り型の造形や、有り体のボーイミーツガール、家族モノに落とし込んだ作劇が、果たして巧くいっているのかは……?
鑑賞中、共感より苛立ちが先に来てしまうのは、ある意味、監督の思う壺なのかもしれないけれど。
あと、ところどころ変なショットが入ったり、異質な演出が入るのもウケ狙いなのか意図が分からず。(花子と荒川の対話が劇中にあるから、余計に目立つ)
しかし何とも、嫌いとか、つまらないとかでは片付けたくない魅力も確かにある作品で、あざといと判っていても、赤い照明のバーでのやり取りには引き込まれたし、力のある演者の丁々発止は舞台を見ている様な楽しさは、確かにあった。
食わず嫌いせずに、評価の高い近年の作品もちゃんと観てみようかな、と思ったけれど、やっぱり苦手な気がするw
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