眠る猫

⾼野⾖腐店の春の眠る猫のレビュー・感想・評価

⾼野⾖腐店の春(2023年製作の映画)
4.8
先行上映にて鑑賞。
広島の尾道が舞台。
町の一角で豆腐屋を営む父娘と、近所に住む人々の暮らしが丁寧に描かれている。
尾道の町並み、行き交う船、夕陽も楽しむことができる。
父の作る豆腐を愛し、職人である父を尊敬する娘。
頑固な父と頑固な娘。
たくさん笑って、ほっこりして、最後は泣いて。
良い映画だった。

少し照れた藤竜也さんも良いけれど、広島弁でまくし立てる藤竜也さんも迫力があって、カッコいい。
いちいち好きな球団は?と聞いて、「巨人」と答える相手に憤慨する広島人達も笑えた。

広島だからといって、唐突に被爆者の設定にしなくてもいい気はしたけれど、「原爆という悲しい出来事があっても、ここまで生きて生き抜いて、最後にいい人生だったと笑うんだ」という台詞で全てに納得した。そして、早くに亡くなった親の分まで生きるという台詞に勇気をもらった。
映画の中の2016年当時で最年少の被爆者は胎内被曝の70歳かなと思われるけど、焼け野原を歩いたのだからもっと歳ということだから、そうすると若く見える。さすが女優さん。

舞台挨拶で、店を畳む豆腐屋さんをそのまま借りて撮影をし、藤竜也さんも職人さんに直接指導してもらったという話があった。
そういった背景もあってか、藤竜也さんは本当に豆腐屋さんに見えたし、豆腐が食べたくなった。
明日は豆腐に塩をかけて食べてみよう。

いい映画だった。
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