ねむろう

⾼野⾖腐店の春のねむろうのネタバレレビュー・内容・結末

⾼野⾖腐店の春(2023年製作の映画)
3.4

このレビューはネタバレを含みます

2023新作_157


尾道に
今年も東風の
吹くごとく


【簡単なあらすじ】
尾道の⾵情ある下町。その⼀⾓に店を構える⾼野⾖腐店。夜が明ける前に、そっと明かりが灯り、愚直で職⼈気質な⽗・⾼野⾠雄と、明るく気⽴てのいい娘・春の⼀⽇が今⽇も始まる。こだわりの⼤⾖からおいしい⾖腐を⼆⼈三脚で作っていく毎⽇。
お店の常連さん、昔ながらの仲間たちとの和やかな時間。そんな変わらない⽇々を過ごす⽗と娘だったが、それぞれに新しい出会いが訪れる──。



【ここがいいね!】
非常に穏やかで、その中に愛や死、親子など様々な思いを見ることができる作品でした思います。
40か50手前という話がありましたが、それぐらいの娘さんがいながらも、少しずつ自分の元から離れて行くのだろう、離れていくようにしなければいけないという親の想いと、それに反していつまでも大切にしたいという想い。そして、娘からするといつまでも豆腐を作っているだけではいられないという、人生の最後を頭の片隅に据え、父親を想う気持ちを丁寧にに描いていたと感じます。
それが非常に暖かくてほっこりとした、そんな中でも衝突があってというやり取りで展開をされていた、非常に暖かい作品だったと思います。



【ここがう~ん……(私の勉強不足)】
ところどころに、作品のディテールを広げるために付けられたのであろう人物や展開がありますが、若干ノイズになるところもあったかなと思います。
自分の娘と仲良くさせたいがために、レストランのオーナーをしているいい男と引き合わせるために、演劇部に所属している女子高生から指南を受けたり、豆腐が素晴らしいというところを表現するために、外国人のカップルが豆腐店を訪れる展開があったりと、これは必要だったのだろうかというところがちょこちょこと入ってしまったのは、少しもったいなかったなと思います。もちろん、それが完全になくなってしまうと、のっぺりとただただ日常を描くだけになってしまって、推進力がなくなってしまうので、これぐらいのスパイスとして機能するのであれば仕方ないところだったのかもしれません。



【ざっくり感想】
家族や自分の人生の尊さだったり、時間が経っていくことによって、いろんなことが変わってしまい、最終的に自分や大切な人が亡くなってしまうことに対する辛さを、高野豆腐店という小さい街の一角から描いていた非常に良い作品だったと思います。
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