ビクトルエリセ監督の
31年ぶりの長編映画。
もう無いと思っていただけに、
喜びと期待が膨らむばかりだった。
そして、その期待に
しっかり応えてくれる作品であった。
アナトレントが、アナの役名で
出たことにも大きな意味がある。
(監督の初長編映画『ミツバチのささやき』で、
アナトレントは、アナとして出演している)
ミツバチのささやきのアナは、
幼さ故に自我が芽生えていない状態で、
描かれていた。
本作に出てくる、ある人物も
あいまいな自我が描かれている。
また、本作は宮崎駿監督の
『君たちは〜』のように
監督そのものが詰まっている映画。
(ちなみに、宮崎駿監督の『トトロ』は、
『ミツバチのささやき』の影響を受けているらしい)
ビクトルエリセは、アナと共に
何者と対峙していたのだろうか。
おそらく、映画そのものと
映画が起こす奇跡と
対峙していたのだろう。
最後のシーンの余韻が素晴らしく
当面は浸っていられそう。