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先生!口裂け女です!のhorahukiのレビュー・感想・評価

先生!口裂け女です!(2023年製作の映画)
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記録です。

霊体とかではなく実在するって設定であれば有名どころだと『口裂け女2』があったけれど、口裂け女がゆるキャラレベルのダークヒーローになる時代が来ようとは…。

口裂け女ってもともと整形かなんかの医療ミス?っていう認識だったのだけど、DVで一箇所のみならず二箇所も切断するってすんごい状況。口裂け女の被害者属性を高める(責任の排除)趣旨での変更(整形の一般化という時代変遷も含めて)だろうけれど、DVとか闇バイトとか現時代性を背景に据えた怪談的な要素が口裂け女の超常的な能力値と、一見バランスを欠くようにも見えてしまうリベンジに道筋をつけている。徹底的にやっても問題とならない(叩かれない)属性に目星をつけているのが巧妙で、背景を完全に取り除いたステレオタイプのハリボテとする古風な善悪二元論は現時代性からは逆行している。整形→DVも、そしてゆるキャラ化もそのあたりに起因しているのでしょう。その歪さがクライマックスに向けた帳尻合わせとしてのバランスを強引に保たせていることもまた魅力なんだろうなと思う。今なら殺人未遂だよって今じゃなくても殺人未遂だと思う…。そういう細かなユーモアが楽しかった。でもこの「今なら」ってワードは何気ないけれど本作においては重要なものだと感じた。
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