サトシ

あの花が咲く丘で、君とまた出会えたら。のサトシのレビュー・感想・評価

3.9
成田洋一監督・脚本、戦争恋愛ファンタジー映画。

高校3年生の百合は、母親の態度や学校の先生、クラスメイトの言動すべてにイライラして不満ばかりの毎日だった。
とある日、三者面談で遅れてきた母親の幸恵に、魚臭いと言い、担任の先生には進学するつもりは無いと勝手に早退してしまう。その夜、幸恵と口論になり家を飛び出し、近所の防空壕跡に逃げ込む。
つい眠ってしまい朝目が覚める。
外に出ると全く知らない場所で偶然通りかかった彰に助けられ、軍の指定食堂に連れていかれる。
そこにあった新聞を見て、何と1945年の6月、戦時中の日本であり驚愕する。女将のツルや勤労学生の千代、石丸、板倉、寺岡、加藤たちと出会い、日々を過ごす。
彰には何度も助けられ、その誠実さや優しさにどんどん惹かれていく。
だが彰は特攻隊員で、数週間後には命がけで戦地に飛ぶ運命だった・・・。

【キャスト】
加納百合:福原遥
佐久間彰:水上恒司
石丸:伊藤健太郎
寺岡:上川周作
加藤:小野塚勇人
板倉:嶋﨑斗亜
千代:出口夏希
加納幸恵:中嶋朋子
ヤマダ:坪倉由幸
ツル:松坂慶子

口コミでは泣けると言われていましたので鑑賞。
百合と彰の切ないストレートな恋愛映画でした。
福原遥演じる百合が現代人としては当たり前に戦争は無意味である事を訴え、水上恒司演じる彰を戦地に行かせないよう「日本は負けるんだよ。」と信じてくれないけど説得するシーンは切なかったですね。
何故、タイムスリップしたのかは置いておいてファンタジー映画として観れば納得できる範囲内でしたので、あまり気にならずに楽しめました。
百合は父親の死を美化している母親に腹が立ち、身を粉にして働いているのに全く貧乏から抜け出せない現状であるにも関わらず、自分の意見も聞かずに大学行ったら良いよと言われると、それは反抗的な態度を取っているのも頷けます。最初は就職すると半ば投げやりだった百合が、彰の夢を引き継いだと分かった瞬間には涙が溢れてきて、しっかりと泣いてきました。
母親も娘が夜勤のお弁当を作ってくれたら、それは嬉しいですよね。中嶋朋子の母親はいかにも人が良さそうで仲直りしてくれと願っていました。
水上恒司は、誠実で真っ直ぐな好青年役が凄くハマっていました。ユリの花畑に百合を誘う所はカッコ良すぎるでしょう。
伊藤健太郎は徐々に活動の場を広げていて陰ながら応援しています。
エンドロールで流れる主題歌福山雅治の「想望」が映画のシーンを思い出しながら聴き入ってしまいました。
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