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ほつれるのmasayaのレビュー・感想・評価

ほつれる(2023年製作の映画)
4.0
さざなみ一つ立たせず上手く取り繕ってきた筈の二重生活が、ある一点をきっかけに全て崩れゆくさま。冷え切った夫婦の綱渡りのような生活と、表層を取り払った後に初めて言うことが出来た本当の気持ち。主演二人の演技の最大限を居心地の悪さに注ぎ込む凄い切れ味の会話劇だった。

会話だけ追ってると夫の静かに、理詰めで攻めていく話し方は完全にモラハラ夫のそれなんだけど、状況を考えると妻の方の倫理観の破綻もすごい。どちらも後ろ暗いし、打算的だし本質をはぐらかしたまま。
映画なので行き着く所はそこしかないって結末になるものの、現実ではいくらでもある居心地悪いままで続く人間関係を想起させることで観客をスンとさせ、無音のエンドロールが流れる。
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