とらキチ

プレジデントのとらキチのレビュー・感想・評価

プレジデント(2021年製作の映画)
4.5
アフリカ大陸、2018年のジンバブエ共和国におけるクーデター後初の大統領選挙の行方を、現職大統領に挑む野党党首の姿を通して描いたドキュメンタリー。
37年もの長きに渡った独裁者を打倒し、“自由で公正な選挙”に熱狂する国民達、軍が市民に発砲するその瞬間、若き候補者には殺害予告か届き、票の水増し工作がされているのではないか?という“疑惑”。そんな嘘のようなホントの話しの茶番劇が克明に映し出される。個人的に特に印象に残ったところが2つあって、ひとつめが、野党陣営が選挙の不正を裁判に訴えるも、それを棄却した最高裁判事たちが、その後の大統領就任式典で新大統領とガッチリ握手するシーンを捉えていたところ。“司法の独立”とは一体…。もうひとつが、その新大統領が「耳を傾ける」と語っていたところ。嘘ツキが言うことは、洋の東西を問わず変わらないんだなぁ…と。
世界中で“民主主義”が脅かされている昨今の現代社会に於いて、このようにして「選挙は盗まれる」のだと、典型的なケーススタディとして示してくれる、いろんな意味でスキがない、非常に見応えのあるドキュメンタリーだった。
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