猫目

哀れなるものたちの猫目のレビュー・感想・評価

哀れなるものたち(2023年製作の映画)
3.8
日常生活の中でおかしな事が起きる、いつものヨルゴス映画と違って、設定からぶっ飛んでいたので、監督色は控えめだな〜と思ったら原作があるようです。
絵本から飛び出したようなファンタジックな絵がとても美しい。ファンシーなのにゴシック調。ベラが着ているパフスリーブも可愛くてスーパーロングの髪型に似合っていた。

【ネタバレあり感想】

"Poor things”「哀れなるものたち」って誰のことを指していたんだろうか?これが観た直後の感想。胎児の脳を移植されて動物のように本能で生きるベラ。マックスから"beautiful retard"と呼ばれて確かに情を誘うような風情だけど、彼女は外の世界に出て行くことによって学び、自立し解放される。
娼館に場を移したのは人間の欲望(と男性の支配欲)が渦巻いているので表現しやすかったからか。自称も「ベラ」から「I」に変化して単語だけでなく物事を理論的に話せるようになる。この辺からは哀れなのは既にベラではなく、そちらだったのか(ここには先入観満載で観ていた私も入ります)と思いました。ずっと見守っていたマックスは幸せになっていたし、遠回しにフェミニズムを感じるお話でした。ラストは全てを畳み掛けるようで、ベラの笑顔にエールを送られているような気がしました。

エンドロールもアートなので観て満足な映画。
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