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徳川家康のBenitoのレビュー・感想・評価

徳川家康(1965年製作の映画)
3.8
【 東映時代劇の終焉時期の不幸な作品 】

2023年の大河ドラマ「どうする家康」の第1話でいきなり桶狭間の戦いや今川義元が討たれる展開で面白いはじまり方だったけど、この1965年の映画「徳川家康」は143分で家康誕生からその桶狭間の戦いまでを描いている。

と、いうことは映画は続きがあるのかなと思いきや残念ながら存在せず…

1960年代半ばは東映が不採算の劇場版時代劇を諦め、時代劇はTVメインに移行していった時期。だからシリーズ化するはずだった家康も不幸にも切り捨てられてしまった模様。

原作が山岡荘八の代表作である「徳川家康」全26巻。この映画は、第3巻くらいまでだと思うけど全5部作で完結する予定だったらしい。観たかった、、 でも1983年にはNHK大河ドラマで山岡荘八の原作、脚本 小山内美江子で「徳川家康」を映像化しているから良かった。その時の配役は家康が滝田栄、信長が役所広司、秀吉が武田鉄矢、瀬名が池上季実子、明智光秀が寺田農、淀君が夏目雅子、今川義元が成田三樹夫、武田信玄が佐藤慶など錚々たるもの。(今でもGEOなどでレンタルしてる)

いずれにしろ幻の家康シリーズだけど、唯一製作された一作目は凄く力が入っていて続編が存在していたら、と思いを馳せてしまう。この一作目は家康が北大路欣也、信長は萬屋錦之介、今川義元は西村晃など。あと家康の父 松平広忠(田村高廣)、母 於大(有馬稲子)の描写が印象的だった。そして悲しすぎるシーンとしては、家康が人質として連行されるなか同行していた七人の幼き侍童が割腹するところ。モノクロの映画とはいえ目に焼き付いた場面。

劇伴は伊福部昭。

*2023年1月3日にBS日テレで3時間枠で放送分を録画鑑賞。
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