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キング・オブ・クローンのtoshiのレビュー・感想・評価

キング・オブ・クローン(2023年製作の映画)
3.5
ちょっと前半がテンポ悪く感じたが、それはいわゆる欧米風なドキュメンタリーの作りに近付けようとしているためのような印象を受けた。

人間の「欲」が、科学を進歩させてきた根源だと思うが、それがどこにまで及ぶことが許されるのかという倫理的な問題は非常に難しいと思う。
ただ多くの人が、過去の科学の進歩を例に挙げて、当時は批判的だったが今や当たり前、というのと、今回のようなクローン技術におけるそれとは、ちょっと色合いが、意味合いが違うと思う。
やはり十分に議論される必要があると思う。

愛犬をクローン技術で復活させた医師、そして我が子を幼い頃に失った男性。
ともに、どこか根源的なところで命を冒涜しているように感じた。
愛犬の方は、結局愛玩というか、自分の好きな対象が、自分が好きでいる限り半永久的に存在して欲しいという欲望であり、娘を失った男性は、娘のクローンが欲しいと言いつつ、自分がクローンになるのは絶対に嫌だから火葬して欲しいと、ある種矛盾したことを言う。
両人とも、自分の目には、対象の尊厳を軽視しているように感じた。

が、実際のところ。
今後、時間が経てば、結局はクローン技術がどんどん進歩し、大多数の人たちの倫理観も変容して、受け入れていくようになるのだと思う。
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