MasaichiYaguchi

きみとまたのMasaichiYaguchiのレビュー・感想・評価

きみとまた(2023年製作の映画)
3.5
「愛うつつ」「きみは愛せ」の葉名恒星監督の商業デビュー作は、「愛しているがゆえに、その女性に性欲を抱けない」という自身の体験を基にしたテーマで描いた前2作と同様に、セックスをしたくないことが原因で恋人と別れてしまった青年と、その元恋人でいまは夫とのセックスレスに悩む女性との不思議な交友を描く。
自主映画監督のまるおは、愛しているからセックスをしたくないという思いを抱き、それが原因で恋人アキと別れた過去を持つ。
アキのことが忘れられない彼は、その体験をもとに新作映画と撮ろうとするが、脚本づくりに行き詰まってしまう。
「何故アキを抱くことが出来なかったのか」、自分でも答えを見つけられないまるおは、その問いに向き合うため再び彼女に会う決心をする。
一方、アキはサラリーマンの田頭と結婚しているが、子どもは欲しいのにセックスレスの夫婦関係に悩んでいた。
そして久しぶりに再会したまるおに、アキは「まるおの精子を下さい」と頼み込む。
“愛しているからこそセックスをしない”という主人公の心情は、私を含めて共感、理解出来る人は少数派のような気がするが、本作では、その主人公の葛藤や苦悩を通して「愛と性愛」に向き合おうとしていると思う。