らんら

赤と白とロイヤルブルーのらんらのレビュー・感想・評価

赤と白とロイヤルブルー(2023年製作の映画)
3.5
観ると幸せな気分になります。
キャラクターが凄く良い。

最初は犬猿の仲だけどお互いを知ってく内に惹かれていく…けれど2人は許されない関係で…というのは最早定番の設定ですがやはり面白い。

性別問わずそういうのが一番キュンキュンするんですよね。
役者もみんなかなりハマり役で魅力的。


こういう映画ってテーマ的にも重くなりがちですけど、とてもコミカルに現代的に描かれているのが良かったです。

通話やメッセージをしている時の演出も素敵。SNSで拡散されていくのもまたリアリティがありました。

イギリスの王子とアメリカ大統領の息子
というエンタメ性抜群な設定で、しっかりとメッセージ性のある映画になっています。



生まれ持って高い地位にいる人、王室や皇室に生まれた人がもしLGBTQなら?というifの設定ですが、実際に全然有り得ることだと思います。

立場や環境に縛られて自分を受け入れられない人達にとって、この映画は凄くエールになります。

また、「カミングアウトするかしないかの自由もあるべきだ」という話があったのも良かったです。


昨今は自分の性自認や性的指向を堂々とカミングアウトしていこうという風潮が強い気がします。その風潮は確かに改革に繋がるかもしれませんが、個人の意思を尊重することだって大切です。ましてや性的指向なんてLGBTQに限らずみんな人それぞれだし、非常にプライベートなことです。公表することが正しいという訳ではありません。

公表する、しないの選択肢があることが正しいのです。
この映画ではそういった事もちゃんと描かれていて、いい加減な描き方をしていないのが良かったです。



ラストの展開やハッピーエンドがご都合主義なんじゃないかという考えが一瞬過りましたが、考えてみると今の時勢、風潮的にこの展開は何ら可笑しくないことに気づきました。

息子がマイノリティであることを公表したことによって大統領選で母親に票が集まったことはある意味皮肉的にも見えましたが、それもまたリアルです。(最近のアメリカはマイノリティを掲げれば官軍 という感じがしないでもない…)


日本だとまだ難しいでしょうが、いつかはこれくらいハッピーに受け入れられるようになって欲しいです。
らんら

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