わかうみたろう

ブレインウォッシュ セックス-カメラ-パワーのわかうみたろうのレビュー・感想・評価

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ポルノと映画ははっきり分ける方が良い。一方的な権力関係を解体する試みとしてカメラワークに注目しているのが面白い。作り手として、こんなに手垢のついた表現を繰り返すのは面白くないからやめようという気持ちを感じた。今は、相互的なコミュニケーションにエロを求める時代で、煽情的なだけで相互的な関係のない人間関係の下にはエロではなく暴力しかないというのをまざまざと考える作品だった。
けど、それよりも自分勝手に思ったのは、このメイルゲイズの解体を意識して撮るだけで新しいモノが撮れるっていうことで、作る側としてもかなり勉強になった。やっぱりアニエス・ヴァルダ面白いよなと、その面白い理由の一つが読み解かれていたのも面白い。ロスト・イン・トランスレーションの部分は見直した時に考えたいところ。


映画的な何か特別なものを見てしまった!という感覚と、ポルノの煽情的な興奮とは違う。「日常」の一挙手一投足、景色の中にその特別なショットは潜んでいるということ。