ぶみ

ダム・マネー ウォール街を狙え!のぶみのレビュー・感想・評価

3.0
彼らがルールを変えた!

ベン・メズリックが上梓したノンフィクションを、クレイグ・ギレスピー監督、ポール・ダノ主演により映像化したドラマ。
2021年初頭、個人投資家たちがゲームソフトの小売企業であるゲームストップ社の株価をつり上げ、ヘッジファンドに大損害を与えた、通称「ゲームストップ株騒動」を描く。
主人公となる会社員の投資家キース・ギルをダノ、彼の妻キャロラインをシャイリーン・ウッドリー、彼の兄ケビンをピート・デヴィッドソンが演じているほか、ヴィンセント・ドノフリオ、アメリカ・フェレーラ、ニック・オファーマン、アンソニー・ラモス、セバスチャン・スタン、セス・ローゲン等が登場。
物語は、ゲームストップ社の株が大暴騰し、同社の株を空売りしていた大富豪が大損害を被った事態の一部始終が描かれるのだが、数年前の出来事でありながら、株取引をやったことがない私は、恥ずかしながら本作品で初めてそんな出来事があったことを知った次第。
作中では、前述のような空売りや、踏み上げ、ホールド、含み益といった金融用語や、馴染みのない企業の固有名詞が飛び交うのだが、知識はなくとも、それなりに理解することができたのは良かったところであるものの、もちろん株の知識があれば、より楽しめたであろうことは想像に難くない。
また、年代的にコロナ禍であったことから、屋外では皆マスクをしていたり、マスク着用を注意したり、はたまた給付金が登場したりと、もはや懐かしいとも思えるような描写により、当時の空気感が再現されていたのは良かった反面、私の知識不足からか、キースがゲームストップ社の株に拘った理由が、今ひとつ汲み取れなかったのが正直なところ。
クルマ好きの視点からすると、スバル・アウトバックやホンダ・アコードといった日本車が登場していたのは嬉しい限り。
多分、実際には、個人投資家対大富豪というシンプルな構図ではなく、様々な問題が絡み合っているのだろうが、株取引におけるハイリスク、ハイリターンぶりや、取引停止という強引さ、最終的には社会問題として証人喚問に至るという、ややもすると重くなる作風を、コメディテイストでテンポ良く描き出し、エンタメ度を高めた実話ドラマとして楽しめる反面、やはり株取引に手を出す勇気がないことを再認識した一作。

パソコンに答えはない。
ぶみ

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