odyss

きつねのodyssのレビュー・感想・評価

きつね(1983年製作の映画)
3.5
【女優にこだわる――稀代の美少女高橋香織唯一の映画】

この映画は2回見ています。ロードショウと、それから10年以上たってから都下の某映画館で再上映されたときです。

主要登場人物は三人。道内でも僻地の研究所に追いやられている三十代の不遇の学者(岡林信康)、彼と不倫関係にある人妻(三田佳子)、キツネの運ぶ病原菌に犯されて余命短い14歳の少女(高橋香織)。

少女と学者は偶然知り合うのですが、彼の愛人の存在によってそれは三角関係へと変化します。少女は余命幾ばくもない自分の運命を知っており、生涯たった一度のこの恋愛を何とか成就しようとする。同時に少女は、自分の命を縮める原因となった病原菌を運んだ動物であるキツネに復讐をしようと考えて・・・・。

北海道の美しい自然も見ものですが、この映画の最大の注目点は14歳の少女を演じる高橋香織です。最初は年齢相応に子供っぽく見えていた彼女がしだいに一人の女に変貌を遂げてゆく様子が際だっていますし、映画のヒロインを演じるにふさわしい美少女でもある。彼女はなぜかこの映画のあと、再度スクリーンに登場することはありませんでしたので、その意味でも貴重な作品です。

学者を演じる岡林信康は、フォークシンガーとしては有名ですが、俳優としてはやや難ありの感じ。しかしそうした難点を越えて観客を打つ何かが、この映画には間違いなくあるのです。
odyss

odyss