サトシ

ほかげのサトシのレビュー・感想・評価

ほかげ(2023年製作の映画)
3.7
塚本晋也監督・脚本・撮影・編集・製作作品。

女は、 半焼けになった小さな居酒屋で1人暮らしている。日々、体を売ることを斡旋され、戦争の絶望から抗うこともできずにその日を過ごしていた。空襲で家族をなくした子供がいる。 闇市で食べ物を盗んで暮らしていたが、ある日盗みに入った居酒屋の女を目にしてそこに入り浸るようになる・・・。

【キャスト】
女:趣里
テキ屋の男:森山未來
戦争孤児:塚尾桜雅
復員兵:河野宏紀
中年:利重剛
優しそうな男:大森立嗣

あの「鉄男」の塚本晋也監督作品という事で、相当なインパクトを期待して鑑賞。
まず主演の趣里の演技に注目です。
居酒屋では物も無く仕方無く売春の稼ぎで生き抜くしかない運命を受け止めて、日々客を捌いているんだなとあの気怠い雰囲気で伝わってきます。自分の運命を決断する際の少年に対して優しく話し掛ける言葉も印象的です。
森山未來は精神がやられて何処となく普通とは違う役柄を見事に演じています。戦争の後遺症を引きずって生きていかないといけないのはランボーと同じで人を殺したり、仲間が殺されたりする悪夢を見続けるんでしょうか。拳銃に最後に残った1発をどう使うのか全く読めませんでした。
その2人の人生を身近で見ている少年は何を思っているんでしょうか。怯えながらも真っ直ぐ向いたあの眼差しは強く生きていけると信じたいです。自分で稼いだお金でお世話になった人の為にしてあげたいという健気なシーンは感動しました。
あと少年の小便の時間がやたらと長い所は微笑ましいですね。
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