旅するランナー

ほかげの旅するランナーのレビュー・感想・評価

ほかげ(2023年製作の映画)
4.0
【2023年度キネマ旬報ベストテン上位作品2本立て①】

キネマ旬報日本映画第3位。
主演女優賞を趣里、新人男優賞を塚尾桜雅くんが受賞。

戦争による後遺症、敗戦による喪失感。
地べたを這うように生きる人たちを、塚本晋也監督がおどろおどろしく描きます。
トラウマ必至です。

狂気を宿した趣里や森山未來ら大人たちも、もちろん凄いんですけど、塚尾少年が驚くべき存在感なんです。
僕らを見据えるような眼が忘れられません。
全てを失っても、それでも懸命に生き抜き、石にかじり付くように働き、復興を遂げる日本人の姿が、彼の中に見えてきます。
勢いは落ちつつありますが、経済成長を遂げ、世界の上位にいる国にまでしてくれた、先輩方にやはり感謝しなければなりません。