@池袋シネマロサ
登場人物たちの背景や動機の説明を一切廃して余白で語るタイプの作品。
カセットテープという、まあある意味過去と現在を繋ぐ装置としてはありがちなものを頼りに、「音」を追い求める主人公は上田へ辿り着く。
また、主人公はある男性をストーキングしていて、その男性と過去に駅のホームで何かがあったのだが、それが何なのか、説明はない。
全て想像するしかない中で、語られないからこそ、その輪郭が浮かび上がってくるものもあり、そのを観客に委ねてるのが良かった。
きっと、主人公にも、その男性にも、喪失があったと推察される中で、彼らは物語を紡いでいく。
ラストに何かを感じ取った主人公の友人が彼女をそっと抱き寄せる。
何を感じ取ったのか、何を止めたのか、それは分からないのだけれど、それが希望であると信じたい。
劇中に流れる「偶然と想像」の河井青葉の言葉、改めて素晴らしくて泣きそうになった。
