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フローラとマックスのTKTのレビュー・感想・評価

フローラとマックス(2023年製作の映画)
4.0
1番好きな映画監督、ジョンカーニーの最新作「フローラとマックス」やっと見れました。Apple配給ということで、こんな良質な映画が劇場公開されないことにちょっと寂しさを感じつつも、映画興行のあり方が相当変わってきてることを実感。

この人は本当に人の心の琴線に触れるのが上手い。そっと心の奥底に入り込んできて、しれっと温かい気持ちにさせたまま去っていくような映画の作り方が本当に大好きで、本作も期待通りの作風だった。やっぱり音楽畑出身の人だけに音楽は抜群にいいんだけど、本作ではヒップホップやラップといった畑違いのジャンルの音楽に挑戦していて、昨今のアメリカの音楽シーンを意識したような作りになっていた。前作「シング・ストリート」は多分もう超えることのないくらい人生で1番好きな映画なんだけど、同作や「はじまりのうた」で挿入されていたような、ポップスやロック以外の挿入歌は新鮮だった。

あとはなんと言っても「音楽が作られていく瞬間」を切り取るのが本当に上手いというか、もう匠の技といった感じ。僕自身も作曲だったりバンドをやっていた人間だし、映画を作るより先に音楽を作っていたからあの瞬間の感動やワクワクを演出できることが本当にすごい。学生時代には自分の能力と色々な問題で1番好きな「音楽映画」というジャンルに挑戦できなかったけど、いつかまた(Pという違う立場だけれど)映画を作る時には、音楽映画に挑戦したい。そしてジョンカーニーに見てもらいたい。

あとアイルランドに行きたい。アイルランドの映画はその悲しい歴史のせいか、どの作品にも悲哀を感じるんだけど、その寂しさの中に温かさを感じるようなものが多くて好きなんだ!
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