サトシ

映画(窒息)のサトシのレビュー・感想・評価

映画(窒息)(2021年製作の映画)
4.2
長尾元脚本・監督のモノクロ映画。

廃墟のような建物に住む一人の女。言葉のない世界で原始的な自給自足の生活をしている。
狩猟で蓄えた食料を行商人と物々交換したり、女の体と食料を目当てに来た山賊に襲われたりするが、そんな不測の事態にもめげることなくたくましく生きている。
ある日女の仕掛けた罠に一人の若い男が掛かっていた。女は彼を家に連れて行くと、何故か女になつく若い男。女も情が移ったのか、二人は共同で生活し始める。そんな日常が続く中だんだんと人間の欲望の姿が明らかになっていく。暴力・セックス・食欲、そして戦いの果てに女が見たものは・・・。

[キャスト]
女:和田光沙
若い男:飛葉大樹
山賊リーダー:仁科貴
行商人:寺田農
山賊A:田嶋悠理
山賊B:仁木紘

凄い映画を観てしまいました。
言葉が失われた世界の設定なのでセリフ無し、しかもモノクロ映画で心配しましたが、完全に引き込まれました。
和田光沙の演技が圧巻で、喜怒哀楽の表情だけで全て伝わってきました。夢の中に出てくる黒い男が意味深でしかも何回も登場してしつこい印象でしたが、予想外なパターンもあり、しかもしっかりと回収されていてかなりインパクトに残りました。毒キノコのシーンは笑いましたが、それをあんな風に使うとは思ってもみなかったです。
山賊は悪い奴らだと思いながらもリーダー役の仁科貴への仕打ちは酷いものでした。はっきりイジメです。
寺田農を行商人役で出演させるとは渋すぎます。
最後には人間の満たしたい欲望を全て見せられましたね。
冒頭は暗闇が続き焦らされましたがラストはスパッと終わり、その違いにも驚かされました。
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