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アイアンクローのwoosのレビュー・感想・評価

アイアンクロー(2023年製作の映画)
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ユナイテッドシネマとしまえんにて鑑賞。
2024年新作劇場鑑賞18作目。
客席は5割くらい
テーマ「家父長制」

[全体として]
個人的にプロレスはそこまで詳しくないのだが、なぜか集中して見ている時期があるのでこの団体のこの時期は何があったか知っているくらいのかなりライトなプロレス観戦者である。
で、このフォン・エリック家のことは全く知らない。自分が生まれる前と生まれた直後くらいの話だったので全く追えてはいないのだが、かなり良い映画だと思ったし、実話なのにものすごくドラマティックだなと思った。
お話的にはプロレスで一旗あげようと挑んだが、頂点には及ばなかった父フリッツがローカルプロレス団体を設立し、息子たちを鍛え上げフォン・エリック家にNWA世界ヘビー級のベルトを持ち帰り、メイクマネーを目指すが紆余曲折あってやっとの思いで一人の息子が戴冠した直後から彼らに暗雲が立ち込めるみたいな話。
「もしアメリカの亀田一家がバッドエンドだったら」みたいな感じの話。

[良かったところ]
前半はすごくいい青春映画という感じで兄弟の才能が次々花開いて行くし、兄弟愛や絆があって普通にいい家族の話だなという印象。そこから超鬱展開の後半で、ラストの少し前、映画にしかできない方法で兄弟の心を救うシーンもあってトータル的にすごくいい映画だと思った。
家父長制や有害な男性性、迷信などのダメなところが非常に描かれていて、つくづくそういったものが否定される今の時代は昔よりはいいなと思う。
この一家に関して調べてみると本作には登場しない六男がいたとか、意外と他の兄弟も日本には来ていて、日本のレスラーたちと戦っていたり時系列が結構脚色されたりしてはいるが、あの一家が散々な目に遭っていることは事実なので、非常にいい脚色だったのではないだろうか。
強さだけではチャンピオンになれないプロレスという競技の特殊性がよく表されていたと思う。

[気になったところ]
調べてみると、呪われた一族という噂は兄弟が巡った運命によって作られた話のようだが、そうなる前にケビンのセリフとして入っているのはなんなんだろう?先祖にもそういう話があるんだろうか?


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結構今年見た中でもかなりの上位の作品でした。
プロレスを全く知らない人でもお勧めです。
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