亜留

いますぐ抱きしめたい 4Kレストア版の亜留のレビュー・感想・評価

4.0
マイ・ブルーベリー・ナイツを除いてどの作品も何回も見たことあるウォン・カーウァイだけど、クライテリオン発行のBOXセットが昨日、家に届いたってことで、順番でまた見ていこうと思ってまずはデビュー作の『いますぐ抱きしめたい』。

見るの3回目なんだけど、めっちゃ久しぶりに見て、いろいろこんな映画だったんだと驚いた。初めて見た時は名曲『Take My Breath Away』の広東語版が流れるシーンが気に入りすぎてそのあと毎日のように聴いていたような記憶。ちなみにそれは7年ぐらい前の話なんだけど、改めて見ると、当時の香港で流行っていたアクション映画とはまた違うものだなと今回は思った。ウォン・カーウァイの唯一無二なスタイルのヒントもいろいろわかるんだけど、暗黒街で暮らす若者たちの友情と愛情の物語を通して、ウォン・カーウァイは視聴者に、人間はどうして愛してはいけない人を愛せるのかという疑問を逃げ出すと思う。次から次へと問題を起こす弟分のために身を危険にまでさらすアンディ、そしてそんなアンディに惚れる従姉妹のマギー… 外から、つまり関わりのない人から見ればわけのわからない愛情だと思うんだけど、本人にしかわからない気持ちだってあるよねと、久々にこの映画を見て思った。問題に巻き込まれていくばかりだとわかっているアンディの、弟分への同情と思いやりもそうだし、いつアンディを亡くしてもおかしくないとわかっているけど、一度二人の間で生まれた想いを裏切れないマギーの気持ちもそうだと思う。人間ってやっぱり、不思議な生き物だね。

ちなみに、「いますぐ抱きしめたい」というタイトルはなんかすてきだと思う。せっかくのBOXセットだからいつかまた見たいと思う。
亜留

亜留