だた

Polar Nightのだたのレビュー・感想・評価

Polar Night(2023年製作の映画)
4.0
ベアトリアス・ダルを彷彿とさせる、存在感たっぷりの河野知美が演じる衣良と、彼女に憧れる真琴の関係性の変化が劇的。羨望のまなざしを向けられたまま、不動の存在に留められがちなファムファタール像を、主人公の少女の庇護下に移行させる展開は、女性監督にしか描けない物語だと思う。その一方、脚本に高橋洋が参加することで吸血鬼のジャンル映画としても、しっかり歪んだ作品に仕上がっている。

メインの舞台となる絵画教室の大窓(フィルムグレインの加工が効いている)を生かした、逆光のシルエットで向かい合う二人の構図が、ジャンル映画としてのサプライズと関係変化のイメージを打ち出す。その窓越しに見える庭にまつわる衣良の回想シーンは、いかにも高橋洋的だが、現在から過去に誘うライティングや風の音でしっかり見せ、演出が競り負けることはない。丁寧に設定を処理しつつも、序盤の展開が驚くほど早くて引き込まれる。
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