日本において教員のなり手が減っているという。
授業どころか、それ以外のことに忙殺され神経をすり減らす。
多様な子どもと保護者への対応、上からの過多な要求など。
さながら生徒や保護者からの"カスハラ"に対応する従業員のようだ。
ブラック企業のような実態に、休職や離職する教員も多いという。
このドイツ映画を観て、なお教員に憧れを持って希望する人間がいたら相当なメンタルモンスターだ。
ぜひ教員になってもらいたい。
しかし、逆に子どもたちを独善的に支配する傾向に陥るかもしれない。
そんなことを思いながら映画を観ていた。
主人公の教師カーラは、学校のゼロトレランス(不寛容)対応に理解を示しながら、自らの正義感と人間的な寛容さで盗難事件を解決しようとするが、ドツボにハマっていく。
生徒と保護者からの反発と批判。
同僚との対立。
正義や真実を飲み込んで、にっちもさっちもいかなくなっていく。
リアルな展開にこっちも苦しくなってくる。
どう対応すればいいの?
ベルリン国際映画祭やアカデミー賞など多くの映画賞を受賞している本作だが、あまりにも現段階で上映館が少な過ぎる。
学校の"ありふれた"〈不都合な真実〉に目を逸らさず、教員や保護者はもちろんのこと、多くの人の目に触れて、議論の対象になってほしい映画です。
余談
ドイツ語、英語の題名は、いずれも"職員室"。
邦題の『ありふれた教室』は、どうしてそうなった⁉︎と思いつつ、久々に皮肉の効いたセンスあるタイトルと思いました。
こんなことが学校の中でありふれてほしくはないのですが...。