ぶみ

唐獅子仮面/LION-GIRLのぶみのレビュー・感想・評価

唐獅子仮面/LION-GIRL(2022年製作の映画)
3.0
新世紀おんな残俠伝。

永井豪が書き下ろしたオリジナルキャラクターを主人公とした、光武蔵人監督、脚本、トリ・グリフィス主演によるアクション。
謎の隕石の衝突によりアノロックと呼ばれる魔獣が誕生した世界で、事態に対峙する主人公等の姿を描く。
主人公となる緋色牡丹をグリフィスが演じているほか、デレク・ミアーズ、ステファニー・エステス、ダミアン・T・レイベン、デヴィッド・サクライ、木村知貴、岩永丞威等が登場。
物語は、2045年、謎の隕石がぶつかったことで文明が滅び、世界で僅かに残った陸地である関東平野を舞台として展開するのだが、未来のクルマは全く登場せず、ましてやマッドマックスのような見渡す限りの荒野が広がっているため東京感がゼロだったのはご愛嬌。
作品自体は、所謂実写版のこども向け戦隊ヒーローやロボットものを昭和に逆戻りさせたようなクオリティであり、なおかつメリハリもそんなになく、キレキレのアクションがあるわけでもないため、そこはもう推して知るべし。
反面、前述のように、明らかに日本ではない風景が広がるなか、東京の地名がテロップで挿入されたり、技が繰り出されるとタイムボカンシリーズのように「説明しよう!」というナレーションが挿入されたりするため、わかりやすさは抜群。
そして、やはり本作品のハイライトは、『マジンガーZ』や『デビルマン』『ドロロンえん魔くん』といったSFや妖怪ものがあったかと思えば、『ハレンチ学園』や『キューティーハニー』といった露出度高めの刺激的な作風も得意とする永井豪が手掛けており、セクシー・バイオレンス・アクションとの文字が公式サイトにも躍っていることからもわかるように、主人公を始めとした脱ぎっぷり。
冒頭、いきなり複数の男女がモザイクなしの全裸で登場するため、いきなり面食らうこととなった反面、アナ・デ・アルマスに似たグリフィス演じる主人公は肝心な部分を手で隠していたものの、それも束の間、キャストは総じて気がつけば意味もなく脱いでいるという潔さで、R-15指定も納得。
私的には、途中クルマを運転しながら電話をかけるシーンがあり、「ヘイ、けいこ」と言っていたため、「けいこ」なんてキャラクターいたかなと思っていたところ、「Hey , Siri」のパロディだと気づき、一人で爆笑していた次第。
この前に観た、本作品とは桁違いの予算がかけられているであろうヨルゴス・ランティモス監督『哀れなるものたち』と比較すると、映像作品としての完成度はままごとかのような仕上がりではあるのだが、そのユルユルで突き抜けたチープな世界観と、意味もない裸だらけの展開は、私的には遥かに好みであるとともに、公式サイトにある『聖闘士聖矢 The Beginning』『ONE PIECE』に続く世界をターゲットにした日本発エンタテインメントという謳い文句は、流石に盛り過ぎだと思うものの、アニメに詳しくない私でも、内田真礼、関智一、森川智之、井上喜久子、松本梨香といった名前を知っている豪華声優陣が日本語吹替をしているのも、重鎮永井豪のなせる業かと感じたエクストリーム配給らしい怪作。

長生きせずに、仕事ができるうちに逝け。
ぶみ

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