ブラックユーモアホフマン

ウディ・ガスリー/わが心のふるさとのブラックユーモアホフマンのレビュー・感想・評価

4.1
序盤はなんとなく何故かティム・バートンの『ビッグ・フィッシュ』を思い出した。このデヴィッド・キャラダインは、あのユアン・マクレガーみたいだなと、少なくとも序盤から中盤にかけては。

中盤はヒッチハイクと徒歩と列車で旅。大変そうすぎるが何故かコイツなら何とかなるだろうという信頼感が既にウディに対して芽生えているので無責任に見ているだけのコチラはむしろどうピンチを切り抜けるのかとワクワクする。と期待はしたけれど、まあ特に何か頓知を効かせて危機を回避したりとかそういう面白さは無くただただ泥臭く、運が良いだけだった。

途中、列車で喧嘩に巻き込まれ絵筆を落とした時に焦った様子で「大事な筆なんだ」って言ってた割には看板描きとしては大した仕事は得られず、代わりにギターとハーモニカと歌で大成していく。と同時に出会った歌手オザークの影響で労働闘争に目覚めむしろオザークよりも熱くなっていく。

プロテストソングしか歌わなくなり、歌手というよりはアジテーター化していき、とにかく全国の労働者に蜂起と団結を促し始める。その頃には家族には呆れられ捨てられる。

あれ?お前初めからそんな奴でしたっけ?でも通りすがりの石油王志望の男に「今まで出会った中で最高の占い師だ」と言われるとすぐに相談屋を始めて、で案外ちょこっとうまいこといっちゃったりなんかして。

初めから結構、調子のいい奴ではあった。人に言われた事を鵜呑みにして担がれるとすぐその気になっちゃう。そこが生粋の放浪者たる所以というか。安住に向かない。たぶん新しいもの好きなところもあって、ワクワクしてじっとしてられなくなっちゃうのね。

紆余曲折を経て仕事や友人や家族よりも大事に思える生き甲斐に出会う人の話。2時間半とまあまあ長尺だけど、話にはあんまりまとまりがない。それは意図してのことだと思う。序盤のシーンが最後に上手〜く効いてきたり……とかは特にしない。
でも人生ってそういうものだろう?と言う映画でもあると思った。流れ着いた先がゴールということでしかない。

【一番好きなシーン】
車から落ちた椅子に座って道でハーモニカ吹いてるカット