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マイノリティ・リポートのYYamadaのレビュー・感想・評価

マイノリティ・リポート(2002年製作の映画)
3.6
【監督スティーブン・スピルバーグ】
 第20回監督作品
◆ジャンル:  
 SFサスペンス

〈見処〉
①未来殺人罪!
 フィリップ・K・ディック原作による
 SFサスペンス
・『マイノリティ・リポート』(「Minority Report」=「少数意見」の意味)は、スティーブン・スピルバーグがハリウッドトップスターのトム・クルーズを主演に迎え、2002年に製作したSF映画。スピルバーグ第20回監督作にして、初の本格サスペンス作品である。
・本作の舞台は西暦2054年のワシントンDC。「プリコグ」と呼ばれる3人の予知能力者が未来の殺人を予知、犯罪予防局が未然に逮捕することで犯罪が90%減少していた。
・犯罪予防局のジョン・アンダートン(トム・クルーズ)は、最もそのシステムに精通した刑事であったが、自分が見知らぬ男を殺すことを予知され、一転して追われる身に。
・彼は真実を暴くべく、プリコグの一人
アガサを連れて逃亡。アンダートンは、
未来の殺人予知のシステムは完全ではなく、時にプリコグ3人の予知が食い違うことがあり、システムの完全性を疑われないために少数意見(マイノリティ・リポート)になる予知は存在を秘匿され、プリコグ達の脳にのみ保存されている事実を知る…
・本作は、SF映画の傑作『ブレードランナー』『トータル・リコール』の原作者フィリップ・K・ディックの短編を原作としており、前述の彼の原作映画同様に、退廃的な物語を描く「フィルム・ノワール」の雰囲気を残す作品となっているが、偏にスピルバーグ作品常連のヤヌス・カミンスキーによる撮影がマッチしている賜物だろう。

②魅力的なガジェットの数々
・スピルバーグは本作製作に対し「最高のSFは事実や未来の事実に基づいている」と考え、マサチューセッツ工科大学など全米の専門家・学者たちの意見を元に、作中に登場するガジェットの構想を進めたそうだ。
◆空間で手を動かすことで自在に操作できる映像ソフト
◆完全自動操縦のレクサス
◆音声を認識する家具
◆瞳を使った生体認証
◆街中に溢れる個人向け広告の数々…

・上記は、公開当時においても「夢のような遠い存在」ではなく「将来開発されうるもの」であったもの。
・近未来SFの傑作『バック・トゥ・ザ・フューチャーPART2』と同様、「未来予想図」としての鑑賞価値があった作品である。
 
③結び…本作の見処は?
○: 冒頭パートに登場するガジェットの数々は『アベンジャーズ』など後のSF映画に多大なる影響を与えている。
○: 特殊視覚効果は、20年後の現在の今でも、遜色ないレベルにある。
○: ヤヌス・カミンスキー撮影による彩度の低い映像によって、未来の造詣を退廃的に描き、リアリティーを高めている。
▲:「未来もの」であるが、サスペンスとしてのストーリーは凡庸。
▲: 本作は、政府による情報管理に対する危険性を揶揄しているそうだが、政治メッセージは感じなかったのは、自分だけだろうか?
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