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けんかえれじいのryoのレビュー・感想・評価

けんかえれじい(1966年製作の映画)
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清順と中断と笑い。悲歌、音楽。展開の強引さと映画の自由。二・二六事件と北一輝。

舞台とされるのは昭和十年頃。満州事変が昭和六年、ナルプ解体が九年、二・二六事件が十一年、日中開戦が十二年。

“デスパレートな心情”。「……昭和初年にはジャーナリズムを風靡し、天下の青少年を傘下にした〔社会主義〕運動も昭和七八ごろ青年の生活が最悪の失業状態を経験したとき、この青年のヒュマニズムに立った運動はじつに極端に頽廃化し、デスパレート(絶望的)となり、そのデスパレートなものを、真向に権力に向って叩きつけるすべを見失っていたのである。青年のデスパレートな気持は、その時代よりずっと最近にまでつづいた」。保田與重郎、「我国に於ける浪漫主義の概観」、昭和十五年。
「近時都下風紀取締の実情に徴すれば学生生徒にして特殊飲食店あるいは舞踏場等へ出入する者極めて多く……あるいは放縦淫逸に流れ、頽廃無節操の弊風に感染し……国家風教上まことに深憂に堪えず云々」。当時、警視庁保安部、都下各大学専門学校長宛の通牒。
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