うめまつ

テルマ&ルイーズ 4Kのうめまつのレビュー・感想・評価

テルマ&ルイーズ 4K(1991年製作の映画)
5.0
満点以外付けようがない。女性が男性の従属から解放されて《本当の自分》を獲得するまでの大スペクタル冒険活劇。ワクワクヒリヒリドキドキして心臓が掴まれっぱなしだった。こんな女による女のための映画が、男性監督によって30年も前に作られていたことに勇気をもらえるし、脚本が女性なのも至極納得。そして全然脱がないハーヴェイカイテルをこんな《女の味方代表》みたいな役にしてくれて本当にありがとう!「彼女達を救ってやりたいんだ」って言われた時あまりにびっくりして(一瞬疑ってごめんねカイテル。。)、何故か自分まで救われたような気持ちになったし、あのトレードマークの眉間の皺がより一層慈悲深く見えて愛おしくなった。(多分少数派の意見)

まず冒頭にルイーズが出てきた時の信頼感といったらない。絶対に賢くて自立してて意志が強くて、冷静だけど情にも深くて友達思いなんだろうなぁ、姐さんついていきます!って一瞬で思ったもの。それに比べてテルマは纏う空気からして甘ったるくて、主体性がなくその場の雰囲気にすぐ流されるし、チヤホヤされたらころっと騙されちゃうからルイーズと一緒にハラハラした。そんなテルマが後半怒涛の覚醒を見せるシーンがどれもこれも最高で、やってることは犯罪なのにいいぞもっとやれ!って気持ちになって来るので危険。警察に銃突きつけながら「奥さんを大切にしなきゃ私みたいになるわよ」ってとこ痛快だった。散々女を汚い足で踏みつけといて、謝ることさえ出来ない男達の末路の哀れなことよ。

どんどん追い込まれて行く後半、状況的には八方塞がりなのに二人の意識が解放されて行く過程も見事で、テルマの「未来に希望があるって感じる」という逆説的な台詞にも胸が締め付けられる。もちろん彼女達の行為は裁かれるべきだろう。でもこうまでしないと女性が自尊心を確立できない男性優位社会の仕組みそのものが間違っているのだ。その歪みが引き起こした事件として描かれている。そうして来たるラストシーン、賛否あるのも頷けるけど私は爽快に感じてしまった。色んな感情が渦巻くけど、二人の物語をもう誰にも渡したくないから、やっぱりこれしかないと思えた。



以下、大いなる余談。
逃避行中にブラピをヒッチハイクで拾っていい仲になるのってどんな確率?天文学的数字なのでは??という雑念はさておき、わざわざブラピ専用のムード照明を使い引き締まった肉体美を写してくださり、監督男性なのにそこの需要わかってるんだな。。と思ったけど、私は今回は見れなかったハーヴェイカイテルのぽっこりお腹の方が断然好きだということを、誰に聞かれてもないのに宣言しておきます。
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