ベルベー

トラペジウムのベルベーのネタバレレビュー・内容・結末

トラペジウム(2024年製作の映画)
2.2

このレビューはネタバレを含みます

前半はこりゃ今年ワーストだなあと思いながら観てたんだが、後半はそんなに嫌いじゃなかった。高山一実、表現したいテーマはちゃんとあっただろうにセットアップが全く上手くできておらず残念。

原作読んでないから映画版と違ったら申し訳ないけど、セットアップの下手さ、これ高山一実本人の問題というより編集がちゃんとディレクションできてないのがダメなんじゃないか。アニメでも漫画でも、小説でさえアイドルものが乱立している中、どうしたら人の目を惹くことができるのか。そこの推敲が全く足りていない。高山一実が書いたらそれだけで話題になるだろうという出版社の怠慢が見える。東西南北という安直さ、男キャラの微妙な描き方、ボランティアその他あらゆる事象のディテールの浅さあたりは本来、編集がカバーすべき問題でしょう。

アイドルに固執する主人公の狂気は前半からちゃんと描かれていて、しかもかなり過激なルッキズムを伴っていることも示されている。しかしその狂気の根源、なぜ人々は、主人公はアイドルに固執するのかが描かれていないせいでテーマが上手く消化出来ていない。特に理由なく「なんとなく」固執してたなら、それはそれで良いと思うんです。なんとなくであそこまで周囲が見えなくなってしまう怖さとかもあるから。

でも本作はそういうことを言っているわけでもなく、ただ主人公がヤバい人、という描き方になってしまつている。だから「過激なアイドル思想、ルッキズムを押し付けてくる唾棄すべき映画」みたいな受け取り方をしたレビュアーが出て来て炎上するのでは…いや、件の人は流石に読解力なさすぎるけどな。過激なアイドル思想については明確に否定されてます。その上で微妙って話だけど。

前半のダメさに、これはクローバーワークスも背景に凝るくらいしかできることなかったのかなあ…と思ってしまったけど、終盤のメッセージを鑑みるに、できることはあったんじゃないのか。原作が描写不足なら補完するなり。原作にあって削っちゃったのなら論外だけど。あと、西野七瀬と高山一実をお爺ちゃん役に充てるのはふざけすぎだし面白くもない。

くどくどと書いてしまったけど、詰まるところあまりオススメできる映画ではありません正直。曲も今ひとつ。せめてローカルアイドルないしテレビ企画発アイドルものとしての個性があれば…。
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