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ナショナル・シアター・ライブ 2024 「ディア・イングランド」のtakeのレビュー・感想・評価

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サッカーにあまり詳しくなかったが、ブレグジットやコロナなど、自分の経験した時代の変化と共に進んでいくことでガレスとチームの辿った物語が追体験できた。

心理学的なアプローチは、サッカーに限らずどのチームスポーツや各種団体にも活かせそうだなと思えるようなものだった。

ヘースティングズとかワーテルローを引き合いに出した時にメンバーがシン…てなる瞬間が面白かった笑 
あと牧師がガレスのPKを赦さないって言ってたのも好き。

そしてガレスのPKがことあるごとに弄られすぎてる笑。この辺を、現役の選手達のPKの失敗も描かれる上で悪意の棘と見るか、笑いに変えてしまうか、難しい塩梅なのだろうなと思った。
ただでさえ払拭できない差別が存在する中、失敗への中傷が簡単に差別になってしまうのはスポーツが人にもたらす熱狂を表すとともに、人間の怖さみたいなものも描いていると感じた。

ハリー・ケインのキャラクターがかなり愛せるしお芝居が良すぎる。ただ喋るだけで笑いをとるのは凄いし、最後のPKのシーンは本当にジンとくるものがあった。

PK戦の緊張感が本当にサッカーのPKを観る感覚ですごい。1幕目でようやく今までの呪いを打ち破った時の興奮は最高だった。

幕切れ後に挨拶をする彼らがまだ役者には見えなくて、試合後のサッカー選手にしか思えなかったのが凄いと思った。観劇後に役者に拍手したいという気持ちじゃなくて、健闘した選手達を讃えたいという気持ちが湧いてきたから、それだけこのお芝居が優れていたのだと実感した。
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