HAYATO

パレードのHAYATOのレビュー・感想・評価

パレード(2024年製作の映画)
3.8
2024年86本目
Only on Netflix
『余命10年』、『ヤクザと家族 The Family」などで知られる藤井道人監督最新作
亡くなった人の目線で遺された人への思いを描くヒューマンドラマ
長澤まさみさん、坂口健太郎さん、横浜流星さん、森七菜さん、リリー・フランキーさん、寺島しのぶさん、田中哲司さんほか豪華キャストが集結。
瓦礫が打ち上げられた海辺で目を覚ました美奈子。離ればなれになった一人息子を捜す彼女は、道中で青年のアキラや元ヤクザの勝利、元映画プロデューサーのマイケルらと出会い、自分がすでに亡くなっていること、未練を残して世を去ったため、まだ「その先」に行くことができないことを知る。現実を受け止めきれない美奈子だったが、月に一度死者たちが集い、それぞれの会いたかった人を捜すパレードに参加したことをきっかけに、少しずつ悲しみと向き合っていく。
劇中の音楽と主題歌“なみしぐさ”を、RADWIMPSの野田洋次郎さんが手がけている。
キャスティングや登場人物の設定から、藤井道人監督自身のフィルモグラフィーへの愛情や、2022年に急逝したプロデューサー・河村光庸さんに対するリスペクトが伝わってくる1作。
本作の『ゴースト/ニューヨークの幻』に代表されるような「亡くなった人間が現実世界に留まり愛する人に会いに行くも、現実世界の人にはその姿が見えない」という設定それ自体は珍しくないものの、映画の中に映画を登場させるメタ的構造が加わることによって、計り知れぬ映画のパワーを強く感じさせるのは本作ならではの要素。
俳優陣の豊かな感情表現と美しい映像が感動を誘い、人間誰しもが避けられない喪失をパレードとして描いている点が魅力的だった。
長澤まさみさんの主演というより、現実と「その先」の世界のはざまにいる7人の男女を中心とした群像劇だったので、それぞれの登場人物のバックグラウンドをじっくり描けるドラマの方が感動度は増したかなとも思う。
「その先の世界」が、『リメンバー・ミー』みたいな世界だったらいいな。
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