瓦礫が打ち上げられた海辺で目を覚ました、長澤まさみ演じる美奈子。
おそらく津波が来たのだろう。
彼女はシングルマザーで、離ればなれになった息子の良を捜す。
愛息子の生死も分からず途方に暮れる美奈子だった。
道中で坂口健太郎演じる青年アキラや、横浜流星演じる元ヤクザの勝利、リリーフランキー演じる元映画プロデューサーのマイケルと、その仲間たちと出会う。
ここは“想いを残した者たちがとどまる世界”だった。
この世に未練がある者、生と死の瀬戸際に立っている者。
現実を受け止めきれない美奈子だったが、月に一度死者たちが集い、それぞれの会いたかった人を探す“パレード”に参加したことを機に、各々の心に触れていく。
森七菜演じる女子高生ナナもまた、そこに加わり、仲間たちはマイケルの実話に基ついた映画を作ることに。
この、映画の中の映画『パレード』は、マイケルの話だ。
マイケルの最愛の人、マイコさん。
マイケルとマイコは互いに惹かれあい、愛し合っていたが、彼女は父が選んだ婚約者と婚約しなければいけなかった。
そうして二人は、別々の人生を歩んだ。
これが、映画『パレード』のストーリーだった。
映画の中の映画、そして、このキャストたちが演じる演技の中の演技に注目だ。
一人二役のようなイメージ。
大人になったナナは、映画を完成させた。
劇場の客席は満員だった。
そして客席には、美奈子の息子の良。
彼は、母のような作品を作りたいと言った。
映画を観る良の瞳がキラキラして綺麗だった。
そして彼らはやがて、成仏したのだ。
大事な人たちを見守りながら・・・
切ないけど、彼らが想う人たちの隣には、成仏した者の姿はない。
しかし、確かに、隣にいつもいるよと言っているかのように、そこにはあたたかい空気が流れるのだと思う。