ブロオー

めまいのブロオーのレビュー・感想・評価

めまい(1958年製作の映画)
4.3
名作です。
好きなシーンは3つあって、1番良かったのが服とか髪やメイクを整えることで、死んだはずのマデリンと擬似的に再会を果たすところ。現実に少しの夢を添えてくれるという物語の魅力が詰まっている。
2つ目がスコティが見る悪夢の映像。過去の視覚的な記憶の中に死人の影がちらつき、色が転換したりして精神的な苦しみの表現がスマートだと思った。
3つ目がスコティとマデリンが木の年輪を見て話しているシーン。樹齢2000年を越える木々が地球上にはあって、遺物として年輪に人間の足跡が年代ごとに書き添えられている。シーンを通して人間の歴史の短さを思い知らされる。この感覚は二十代の自分にはまだ実感がないと思った。
映画全体を通して、人は人を追いかけているときが最も幸福であり最も不幸だと感じたし、人は人から追いかけられると逃げ出そうとするものだとあらためて感じた。追いかけ方はそれぞれだと思うが、この映画の尾行は変態的だと思う。