マルティン・バイントゥルブの初著小説「Descansar en paz」の映画化。
借金苦の男がある事件を利用してドン底から抜け出すドラマ。
人生はやり直せるのか?
以前の人生に区切りをつけられるのか?
代償として捨てた過去に呼び覚まされた衝動が男を次の行動に駆り立てる。
シンプルなテーマを洗練されたシナリオと役者の演技だけで丁寧に描かく演出が秀逸。
それを支えた夫役ホアキン・フリエルと妻役グリセルダ・シシリアニの演技が際立って素晴らしい。
平穏と不安で使い分けた音楽も良かった、特に後半結婚式シーンでのセルヒオの心理を表現したチューニングのズレたピアノには唸った。
1994年のアルゼンチン・イスラエル相互協会爆破事件をモチーフにしているが政治的根拠はなく、展開のきっかけとして親近感を持たせられていると思う。
意外に悪い奴は出て来ず、サスペンス色をチラつかせながら枝葉は伸ばさず、あくまでも家族愛というブレない本筋に好感。
ズシンと胸に来る秀作。
良かった。
監督 セバスティアン・ボレンステイン
キャスト
ホアキン・フリエル
グリセルダ・シシリアニ
ガブリエル・ゴイティ
ラリ・ゴンサレス
マリア・ゾーイ・クニスチ・セゴビア
ニコラス・ヤルバーグ
マカレナ・スアレス
ユアン・コッテ