2024年51本目
『スワロウテイル』や『リリイ・シュシュのすべて』などで知られる岩井俊二さんの劇場用長編映画監督デビュー作
事故で婚約者の樹を亡くした博子は、忘れられない彼への思いから、彼が昔住んでいた小樽へと手紙を出す。その手紙は、樹と同姓同名で、中学時代に彼と同級生だった女性のもとへと届き、2人の奇妙な文通が始めるのだった。
日本アカデミー賞作品賞をはじめとする数々の映画賞を受賞し、韓国でも大ヒットを記録した作品。
『死刑にいたる病』の中山美穂さんが1人2役を熱演し、『キングダム2 遥かなる大地へ』の豊川悦司さん、『アキラとあきら』の酒井美紀さん、『相棒 -劇場版- 絶体絶命! 42.195km 東京ビッグシティマラソン』の柏原崇さんら脇を固める。
亡くなった相手に出した届かないはずの手紙が偶然にも同姓同名の女性に届き、しかもその女性は死んだ恋人の同級生だったという中々突飛な設定のストーリーながら、とても心を揺さぶられる。
幻想的な映像表現によって白銀の世界が美しく彩られていて、柔らかな光が独特な温もりをもたらす。
回想で綴られる学生時代の恋愛模様が初々しくて甘酸っぱく、戻りたくても戻れない青春の日々を恋しく思った。
もうここ数年手紙らしい手紙を書いた覚えがないけれど、スパンの短いSNSのやり取りとは違い、自分の気持ちを整理して伝えることのできる手紙の魅力に改めて気付かされた。
2020年に公開された同監督作品の『ラストレター』と共通点が多いのがニヤニヤポイント。
