えそじま

スサーナのえそじまのレビュー・感想・評価

スサーナ(1950年製作の映画)
4.0
嵐の夜に、州の感化院を脱獄し裕福で平穏な農場に流れ着いたスサーナが、そこに住まう男達を誘惑し尽くし、欲望のままに楽園と秩序の破壊を目論む。目も眩むような美しい肉体を存分に活かし、次々と男どもを籠絡していくこの世紀の悪女は、冒頭牢獄に差す月灯りを遮る窓の格子、そこに象られた十字架型の影を横切る大きな蜘蛛であり、それは肉体を持った悪魔であり、はたまた雨季の外れに突如訪れた嵐であり、過ぎ去った後は今までとなんら変わらぬ、どころか増して晴れやかな日常が訪れる。その井戸の底にどこか不穏げな存在感を残したまま、肉体だけが闇の中に消え去っていく。


複数の男達の視線がスサーナという悪魔を媒体にして交錯するシーンが特に完璧だった。尺も82分と丁度いい。トリュフォーの『私のように美しい娘(1972年)』における破天荒ファムファタル(ベルナデット・ラフォン)は、これをパロディにしているのだろうかと思ってしまうほど似ている。公開当時の仏題が「変態スサーナ」なのが俺には面白くてしょうがないのだが。テキトー過ぎるだろ
えそじま

えそじま