ブロオー

GHOST IN THE SHELL 攻殻機動隊のブロオーのレビュー・感想・評価

GHOST IN THE SHELL 攻殻機動隊(1995年製作の映画)
3.8
面白い。
話を展開させず、世界の情景だけを映しているシーンがある。中華文明と現代アメリカテクノロジーが雑居している街並みはブレードランナーの焼き直しとも言えるが作られた世界に没入する感覚が味わえるので見ていて気持ちいい。
生命の子孫を残すという原理をテクノロジーの観点から反射させる形で浮き彫りにさせるが、人形使いと草薙素子が結合してロリ人形という形で生まれ変わってしまうので、人間×テクノロジー=新生命という図式でもなく、どちらかというとテクノロジーが人間化するという論理があるので、人間を脅かす上位存在としてのテクノロジーも高度化した人間(ヒト型)という形に収まってしまう。
なので、個人的には草薙素子が戦車とやりあってボコボコにされたあげくガラスの破れた天窓から雨が降り注ぐのを遠景で映しているシーンが一番美しいと思った。神もゾンビも霊もテクノロジーも人間の似姿なんて面白いけど面白くない。人間と見分けがつかないというのには確かに恐怖は覚えるけれど、人間の実存を脅かすのは人間という生命存在を問うたり疑いを持たせたりするモノではなく、実際にこの世に共存していて圧倒的な力の差を実感させられるモノ自体だと思います、例えば銃とか鯨とか火とか山とか飛行機とかね。
ムキムキエロいヒロインが勝てない勝負へと挑まされる構図は性的欲望を満たしてくれるコンテンツになっていると思う。