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グエムル -漢江の怪物-のmazdaのレビュー・感想・評価

グエムル -漢江の怪物-(2006年製作の映画)
3.9
ポンジュノ監督の映画を見るのはこれで3本目。半分蛙で半分おたまじゃくしのような見た目に恐竜の要素を加えた凶暴な生き物の話。さらにこの生き物ウイルスを持っていて少しでも接触したものは感染するらしい。

過去見た2作は独特な絆を描く家族の映画だったが今回はモンスターパニックものと聞いて見た。しかし結局これもやばいファミリーの話だった。
この人が描く人間関係にはすごいクセがあり、家族愛なことは間違いないのだが、ほっこり暖かい家族とかではない。他人には見せられない家族の中でしかわからないリアルな温度で絆を描くのが上手い。その辺の家族ドラマよりはるかに深く圧倒的な熱量を感じさせるポイントだろう。

しかしこの映画の韓国政府の酷さなかなかすごい。映画の中の政府はどの国も決まってポンコツだが(だからって実際の政府も良いわけではないが、笑)この映画は、政府が酷い映画ランキング上位に入るレベル。
人食いモンスターと言ってもゴジラのようなデカさではないし、1匹だけだ。そして感染する可能性がある。そんな時に自衛隊はバーベキューしているし、食われたと思ってた人がどこかで生きている=何かモンスターの情報を知るヒントになるかもしれないのに少しも相手にせず、攻撃したり捕らえる様子も終盤まで出てこない。市民は避難してるのかと思ったら全然街中にいるし、、

ヒョンソのお父さんも、お父さんのお父さんも素敵な人だった。『パラサイト』『母なる証明』そして『グエムル』どの作品も主人公とその家族は生命力とはちょっと違う、人間力と言うか、、今を生きてるって感じさせる力がすごい。
彼等の行動力がそう思わせるのか、同じ状況になっても彼等のように行動できるかはわからない、どの人たちも一心不乱に気が狂ったようにマジになる。だから目が離せなくなる。

期待して見るような映画ではないが、期待せずに見ると十分面白い内容。B級感溢れるジャケットだけもったいない。最後どうなったかももう少しわかりやすく描いてくれた方がよかったな。
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