アニマル泉

虎鮫島脱獄のアニマル泉のレビュー・感想・評価

虎鮫島脱獄(1936年製作の映画)
4.2
フォードの脱獄映画。20世紀FOX 白黒スタンダード。脚本ナナリー・ジョンソン。
ファーストシーンは火祭り。リンカーン大統領がなんと南部のディキシーをリクエストする。そして劇場でのリンカーン暗殺。フォード十八番の豪雨だ。逃げる暗殺犯。暗殺犯と知らずに治療する主役の医師サミュエル・アレクサンダー・マッド(ワーナー・バクスター)が登場する。緊迫した場面がいきなり連続する。火と雨を使うのがフォードらしい。マッドが絞死刑になるかどうかで妻ペギー(グロリア・スチュアート)が失神する場面も緊迫感が漲る。
フォードは子供の使い方が上手い。
鏡もフォードの主題だが本作はガラスの映り込みを巧みに使っている。
後半は刑務所からの脱獄ドラマになる。孤島の刑務所で周りはサメがうようよしている。ランキン軍曹(ジョン・キャラダイン)が素晴らしい。
フォードはミニチュを使った海洋の嵐ものが得意だが本作もその1本だ。
刑務所に黄熱病が蔓延する。船舶に看護を要請するが見捨てられる。ここも豪雨の大嵐だ。この雷雨が感染源の蚊をとばす事になるのが面白い。実話なのかもしれないが「嵐」のフォードらしい見事な展開だ。応援依頼を無視されて砲撃で舟を撃ち始める狂気もフォードならではだ。業を煮やして殴りあい、発砲、というのはいつもの展開だが大砲を撃ち始めるのには唖然とした。こういう「過剰」もフォードらしい。「周遊する蒸気船」のように。
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