ベビーパウダー山崎

ギルティ/罪深き罪のベビーパウダー山崎のレビュー・感想・評価

ギルティ/罪深き罪(1992年製作の映画)
3.5
男と女が正面切って対峙する裁判劇とかでは全然なくて、ラリー・コーエンの妄想とマヤカシ全開のハッタリ映画で最高だった。シドニー・ルメット、堅物な作家だと思われがちだけど、こういった「安い」映画もしっかり撮るから好き。キチガイがドン・ジョンソンで被害者がレベッカ・デモーネイ、どう見てもキャストが逆だけど、その意外性がまた良かったり。この二人の危うい関係の果てに、物語はどうケジメをつけるのかとドキドキしていたら、雑すぎる暴力的なラストで椅子から転げ落ちた。ここまで投げやりだと100点(この尻すぼみ感は正しくラリー・コーエン)。おそらく法廷もの繋がりってことでルメット『十二人の怒れる男』からジャック・ウォーデンが出演している。「人殺しとセックスは生でヤルに限る」、書き残したくなる抜群のセリフ。空っぽな90年代は男も女も濡れていた。