ゴン吉

男はつらいよ 純情篇のゴン吉のレビュー・感想・評価

男はつらいよ 純情篇(1971年製作の映画)
3.9
渡世人の生き様を描いたヒューマンドラマ「男はつらいよ」シリーズの第6作目。

原作・脚本・監督は山田洋次、主演は渥美清。倍賞美津子らが共演。
本作品のマドンナは若尾文子が演じるおばちゃんの親戚の人妻。
ゲストは森繁久彌。
本作品の寅さんの旅先は山口、長崎・五島と浜名湖。

劇中のテレビ番組「ふるさとの川」で江戸川を舞台に寅さん(渥美清)の妹のさくら(倍賞美津子)やとら屋が映り、旅先でそれを観ていた寅さんは望郷の念に駆られて葛飾に帰ってくる。
しかし寅さんの部屋はおばちゃんの親戚の人妻(若尾文子)が間借りしており、寅さんは一度は怒ったものの、彼女が美人だったことから一目惚れして機嫌がよくなる。
そんな折、妹さくらの旦那の博が勤め先の印刷所を辞めて独立しようと決心する。
寅さんは、印刷所の社長からは博に独立を引き留めるように、一方、博からは円満退職できるように社長を説得するように頼まれ、両者からの依頼を調子よく引き受けるが.....

本作は独立がテーマ。
金を無心したり暴力を奮う夫から逃げてきた乳飲み子を抱えた若い女性や、売れない作家の夫と別居するため寅さんの部屋を間借りする人妻が描かれている。
果たして二人の女性は夫と離婚して独立するのか、もしくは元の鞘に戻るのか注目です。
一方、夢をかなえるために独立して起業を志す博。しかしその資金は親をあてにしており、本当の独立とは言い難い。
それに絡んで毎度のことながら寅さんの無責任ぶりには呆れてしまう。
ラストは妹のさくらの暖かい言葉にほっこりですが、それ故に寅さんは独立できないのかもしれませんね。
「そんな考えだから俺は何時まで一人前に 故郷ってやつはよ 故郷ってやつはよ」

2023.5 BSテレ東で4Kデジタル修復版を鑑賞
2021.11 BSテレ東で4Kデジタル修復版を鑑賞
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